おひとりさま・孤独

内向的だから一人が好き、とは限らない — 「一人でいたい」と「人といたくない」の違い

一人でいたいのか、人といたくないのか。同じ「一人が好き」に見えても、この2つは別の気持ちです。内向的な性格でどちらかが決まるという結果は出なかった、という研究をもとに、自分がどちら側にいるのかを確かめる手がかりと、分かったあとにできることを紹介します。

江原 和比己(産業カウンセラー/かずな総合研究所代表)

更新 読了目安 4分

この記事の要点

  • 「一人が好き」には、一人の時間そのものを求める気持ちと、人といるより一人がいいという好みの2つが混ざっている
  • 後者は、人づきあいで嫌なことが起きるのを避けて離れている状態として説明されている
  • 内向的かどうかで、そのどちらかが決まるという結果は出なかった
  • 代わりに結びついていたのは、まわりに急かされずに自分の気持ちに沿って動けているかどうかだった
  • 「内向的だから」で片づけると、一人でいたい理由まで届かない

飲み会の誘いを断って、家に帰る道で少しほっとした。次の日、あれでよかったのだろうかと引っかかった。そんな覚えがあるなら、確かめてみてほしいことがあります。

あのとき断ったのは、一人で過ごす時間が楽しみだったからでしょうか。それとも、あの場に行きたくなかったからでしょうか。

同じ「一人でいたい」に見えて、この2つは別の気持ちです。

「一人が好き」には2つ混ざっている

一人の時間を楽しめる人の特徴を調べた2022年の研究は、この2つを分けて扱っています。

ひとつは、一人で過ごす時間そのものに楽しさや意味を感じて、その時間を求める気持ちです。もうひとつは、理由はともかく、人といるよりは一人がいいという好みです。

後者について、この研究はこう説明しています。人づきあいで嫌なことが起きるのを避けようとして、人はその場から遠ざかる。一人になりたくて一人でいるのではなく、離れた結果として一人でいる、という見方です。

一人の時間に向かう

  • その時間そのものに楽しさや意味を感じている。
  • 一人でいることを求めている。

人づきあいから離れる

  • 嫌なことが起きるのを避けようとしている。
  • 離れた結果として一人になっている。

(PLOS ONE, 2022年)

日々の実感では、この2つは見分けがつきません。誘いを断ったあと、一人で過ごせるのが楽しみだったのか、その場に行くのが嫌だったのか。後から思い出そうとしても、はっきりしない。そんな覚えはないでしょうか。

内向的かどうかでは決まらない

では、この2つは性格で決まるのでしょうか。

同研究は、内向性との関係を調べています。内向的かどうかで、そのどちらかが決まるという結果は出ませんでした。一人でいることを好むかどうかも、一人の時間を自分から求めるかどうかもです。「内向的な人は一人が好きだから一人でいる」という通説は、この研究では支持されていません。

内向的な人に一人を好む傾向が見られることはある。ただしそれは、一人の時間が楽しみだからというより、まわりにある人づきあいのほうに魅力を感じにくいからかもしれない。同研究はそう述べています。これも、一人に向かっているのではなく人から離れている、という形です。

代わりに結びついていたのは、ふだん、まわりに急かされずに自分の気持ちに沿って動けているかどうかでした。この傾向が強い人ほど、一人の時間を自分から求めていました。人といるより一人がいいという好みのほうとは、関係がありませんでした。

一人の時間を楽しめるかどうかは、内向的か外向的かではなく、自分で決めて動けているかどうかのほうに関わっている、ということになります。

「内向的だから」で止めない

「自分は内向的だから一人が好きなのだ」と考えているなら、その説明だけでは、一人でいたい理由までは分かりません。性格で片づけると、そこで考えが止まります。

もう一段だけ進んでみてください。一人でいたいのでしょうか。それとも、人といたくないのでしょうか。

どちらか一方に決めなくてかまいません。両方に心当たりがあるなら、両方あるということです。日によって入れ替わることもあります。

「人といたくない」のほうに心当たりがあったなら、避けたい何かがあるということです。それが何なのかは、性格の話にしてしまうと出てきません。

分かったあとに、できること

「一人の時間に向かう」ほうに心当たりがあったなら、今の過ごし方をそのまま続けてください。忙しくなると真っ先に削られるのが一人の時間です。削られた週があったら、翌週にどこかで取り戻す。それで足ります。

「人づきあいから離れる」ほうに心当たりがあったなら、避けたい何かを探すところから始めてください。相手なのか、場なのか、その場での自分の振る舞いなのか。人づきあい全部が苦手なのではなく、特定の場面だけということもあります。

どちらの場合も、性格を変えようとする必要はありません。変えられるのは、どの場に出るか、そこでどう過ごすかです。避けたいものが具体的に分かれば、その場を減らすこともできますし、過ごし方を変えることもできます。

自分では特定できないこともあります。そのときは、話しながら探すほうが早いこともあります。職場に相談できる窓口があるなら、そこで話してみてください。

一人でいるのが自分で選んだ結果なのか、そうせざるを得ないのか。そこを確かめる方法は、「一人が好き」なのか、孤独を我慢しているのかにまとめました。

※ 出典: 「Who enjoys solitude? autonomous functioning (but not introversion) predicts self-determined motivation (but not preference) for solitude」(PLOS ONE, 2022年)。

江原 和比己(えはらかずひこ)—— 産業カウンセラー(日本産業カウンセラー協会認定)/日本ブリーフサイコセラピー学会 正会員/かずな総合研究所 代表。IT領域で約25年のキャリアを経て産業カウンセラーに転身。100kmウルトラマラソン完走者。

専門家に相談する

本記事の内容について、個別のご状況に応じたご相談を承ります。