試走(プレ・エピソード)
日々の練習が、物語の序章になる
日々の練習が、物語の序章になる
概要
本番の旅ランや大会だけが「物語」ではありません。そこに至るまでの練習の一日一日が、物語の序章です。それを「試走(プレ・エピソード)」と呼びます。
試走は、身体のリハーサルであると同時に、心のリハーサルです。
試走の意味
身体の持久力を養う
長時間動き続けるための体力は、日々の積み重ねで養われます。
特別なトレーニングメニューではなく、継続すること自体が力になる。週末だけ長く走るより、平日に少しずつ走る方が、身体は確実に変わっていきます。
身体面で養われるもの:
- 心肺機能 - 長時間の有酸素運動に耐えられる心臓と肺
- 筋持久力 - 繰り返しの動作に耐えられる脚の筋肉
- 関節の適応 - 長時間の衝撃に対応できる膝・足首
- エネルギー効率 - 脂肪を燃料として使える代謝システム
- 回復力 - 翌日また走れる身体の回復能力
これらは一朝一夕では身につきません。日々の試走で、少しずつ身体が適応していきます。
心の持久力を養う
試走で養われるのは、身体の持久力だけではありません。
- 今を味わう力 - 長時間動き続ける中で、景色や空気を楽しめるか
- 気づく力 - 単調な時間の中に、小さな変化を見つけられるか
- 感受性 - 日常の縁を、物語として受け止められるか
これらは本番で「心が折れない」ための準備です。長い旅ランやレースの後半、疲労がピークに達した時、この心の持久力が支えになります。
試走の実践
基本サイクル
試走でも、基本は**15:5(15分走って5分歩く)**です。
本番と同じサイクルで練習することで、リズムが身体に染み込みます。「次はどうしよう?」と考える必要がなくなる。その余裕を、縁を見つけることに使えます。
いつもの道で
特別な場所に行く必要はありません。いつもの道を、少しだけ意識を変えて走る。
- 5分だけ「知らない道」を通ってみる
- その道で見つけた縁を1つ、ボイスメモに録る
- いつもと同じコースでも、「今日だけの違い」を探す
記録の例
何気ない発見が、試走を豊かにします。
- 「名もなき野花が咲いていた」
- 「古い看板の文字が面白かった」
- 「愛犬と散歩する老夫婦が仲睦まじかった」
- 「カラスが3羽、電線で会議していた」
- 「雨上がりのアスファルトが光っていた」
大げさな出来事でなくていい。小さな気づきを積み重ねることが、心の持久力を養います。
試走と本番のつながり
こうした小さな記録の積み重ねが、本番で活きてきます。
本番で起きること
- 長時間動き続ける中で、「あ、これも縁だ」と気づける
- 疲れた時に、「何か面白いもの探そう」と思える
- 辛い時間を、「物語の1ページ」として受け止められる
試走を重ねた人と、そうでない人の違い
身体の準備は誰でもする。でも、心の準備をしている人は少ない。
旅ランの後半、フルマラソンの35km地点、100kmの夜間走行。身体が限界に近づいた時、心の持久力がある人は「この辛さも物語だ」と思える。ない人は、ただ辛いだけになる。
その差は、日々の試走で作られます。
試走の頻度と距離
頻度の目安
| パターン | 頻度 | 1回の距離 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 無理なく続ける | 週2-3回 | 5-10km | 生活に組み込みやすい |
| しっかり走る | 週4-5回 | 10-15km | 大会や旅ランに向けた準備期 |
| 回復期 | 週1-2回 | 5km以下 | 本番後のリカバリー |
距離より継続
試走で大切なのは、距離より継続です。
週末に30km走って平日は何もしないより、平日に5kmずつ走る方が、身体も心も安定します。「今日は短くてもいいから走ろう」という気持ちで続けてください。
試走とリセット・デイリーの違い
試走とリセット・デイリーは近い概念ですが、違いがあります。
| 項目 | 試走 | リセット・デイリー |
|---|---|---|
| 活動 | 走る | 歩く、通勤、散歩など |
| 目的 | 本番への準備(身体と心) | 日常のリセット |
| サイクル | 15:5 | 柔軟に |
| 対象 | ランナー | 誰でも |
走らない日は、リセット・デイリーを実践する。走る日は、試走として15:5で走る。どちらも「心の持久力」を養う点では同じです。
安全上の注意
試走でも油断しない
日々の練習だからといって、油断は禁物です。
- 体調が悪い日は休む
- 暑い日は短めに、または早朝・夜に
- 交通量の多い道では細心の注意を
継続のために
怪我をすると、試走が途切れます。継続のためにも、無理をしない。「今日は短めにしておこう」という判断ができることも、心の持久力です。