セルフケア・休み方

疲れが取れないときのセルフケア

疲れが取れない状態が続くとき、何から手をつけるかをまとめました。厚生労働省の無料セルフチェックで疲れの度合いを測り、何に疲れているかを言葉にして、今ある時間でできる小さな手当てを選ぶ。一人で抱えないための、国の無料電話相談窓口もあわせて紹介します。

江原 和比己(産業カウンセラー/かずな総合研究所代表)

更新 読了目安 5分

この記事の要点

  • 疲れの度合いは感覚に頼らず、厚生労働省の無料セルフチェックで測ることから始められる
  • 仕事で強いストレスと感じる事柄がある働く人は68.3%。内容は「仕事の量」が最も多い
  • セルフケアは全部やることではない。今ある時間でできる小さな手当てを一つ選ぶ
  • 相談もセルフケアの一部。身近に話しにくいときは国の無料電話相談が使える

朝、目が覚めたときから、もう疲れている。休みの日に長く寝たはずなのに、週明けにはまた体が重い。そんな状態が続いているなら、気合いで乗り切ろうとする前に、確かめられることが3つあります。疲れの度合いを測ること、何に疲れているかを言葉にすること、そして今ある時間でできる小さな手当てを選ぶことです。そのうえで、一人で抱えないための相談先と、受診を考える目安も紹介します。

疲れの度合いを、まず測る

厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」に、無料の働く人の疲労蓄積度セルフチェック2023(働く人用)があります。全27問、かかる時間はおよそ5分。厚生労働省の「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」2023年改正版に基づくツールです。

このチェックの作りには特徴があります。イライラする、不安だ、といった最近1か月の自覚症状14問に加えて、残業の長さや休日の取れかたなど、勤務の状況13問をあわせて聞くことです。つまり、自分がどう感じているかだけでなく、どれだけの負荷がかかっているかという事実の側からも疲れを測ります。「このくらいは普通」と感じていても、負荷の側から見れば手を打ったほうがいいところまで来ていた、という確かめかたができます。

何に疲れているかを、言葉にする

厚生労働省の令和6年労働安全衛生調査によると、仕事や職業生活で強いストレスになっていると感じる事柄がある働く人は68.3%でした。強いストレスがあると答えた人のうち、内容として最も多いのは仕事の量で43.2%。仕事の失敗や責任の発生などが36.2%、仕事の質が26.4%と続きます。なお、この調査は令和6年に設問の形式が変わったため、それより前の年の数値とは単純に比べられません。

強いストレスの内容別にみた働く人の割合の上位3項目

強いストレスの内容別にみた働く人の割合の上位3項目
内容割合
仕事の量43.2%
仕事の失敗、責任の発生等36.2%
仕事の質26.4%

(厚生労働省「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)」。強いストレスがあると答えた人を100とした割合)

数字が示すとおり、仕事のストレスはいくつかの種類に分かれます。自分の疲れがどれに近いかを一つ選んで言葉にしてみると、漠然とした「疲れた」が、「量が多すぎる」「責任が重い」といった具体的な形に変わります。紙やメモアプリに一行書くだけで構いません。国の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」も、セルフケアの出発点を、働く人自身がストレスに気づき、自分の状態を正しくつかめるようになることに置いています。言葉にすることは、この気づきのいちばん簡単な形です。

今ある時間で、小さな手当てを選ぶ

疲れているところに新しい習慣を足せば、その分の負担も足されます。時間を新しくつくるのではなく、いつもの時間の使いかたを少し変えるやり方から選ぶほうが現実的です。

土台になるのは睡眠です。厚生労働省の健康情報サイト、e-ヘルスネットは、快眠に役立つ生活習慣として運動、入浴、光を浴びることの3つを挙げています。どれも、ほどよい強さで、続けて、ちょうどよい時間帯に行うのがよいとされています。たとえば、帰り道にひと駅ぶん歩く。寝る1〜2時間前に湯船につかる。朝、カーテンを開けて日の光を浴びる。どれも新しい時間はほとんど要りません。一つ注意があり、寝る直前に運動すると、かえって目が冴えてしまうため、体を動かすのは寝る2〜4時間前までがよいとされています。

そして、全部やる必要はありません。先ほどの指針がセルフケアとして求めているのは、ストレスに対処する知識と方法を身につけて、実際にやってみることであって、完璧にこなすことではありません。一つ選んで、できた日を数える。そのくらいの構えで始めて構いません。具体的なやりかたの例は、note の記事毎日疲れが取れないあなたへ。5分でできるセルフケア術4選にもあります。

一人で抱えない

相談することも、セルフケアの一部です。先ほどの指針は、働く人が自分から相談しやすい環境を整えることを事業者に求めています。相談は、制度が最初から想定している行動です。勤め先に産業医や保健師、社内の相談窓口があれば、そこも使えます。

同じ令和6年の調査では、ストレスを相談できる相手がいる働く人は94.6%に上ります。相手として多いのは家族や友人、次いで上司です。一方で、相談できる相手がいる人のうち、実際に相談したことがある人は74.7%です。相手はいるのに話していない人が、4人に1人ほどいる計算になります。

身近な人に話しにくいときは、国の窓口があります。厚生労働省が設けた窓口、働く人の「こころの耳電話相談」は、フリーダイヤル0120-565-455で無料で相談できます。受付は平日が17時から22時まで、土日が10時から16時までです。祝日・振替休日と年末年始は休みです。番号を非通知にした電話は2026年1月から受け付けていないため、番号を通知してかけてください。電話が苦手なら、同じ「こころの耳」にSNS相談とメール相談もあります。働く本人だけでなく、家族も対象です。

不調が続くときは、受診も選択肢に

国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」によると、眠れない、食欲がない、疲れやすいといった体の不調は、うつ病のサインとして現れることがあります。体の病気や治療薬が原因で、うつ状態が生じることもあります。気分の落ち込みや、何をしても楽しめない状態が続き、日常の生活に支障が出ているなら、自己判断で様子を見続けず、医療機関やかかりつけの医師に相談してください。セルフチェックの結果が思わしくないときも同じです。我慢を重ねるより先に、専門の窓口や医療機関につながることを選択肢に入れてください。

疲れが取れないという感覚は、怠けでも気のせいでもなく、手当ての順番を確かめる合図です。測って、言葉にして、小さく手を打つ。そして、一人で抱えない。その一歩から、立て直しは始まります。

※ 出典: 厚生労働省「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」2024年実施、厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」健康保持増進のための指針公示第3号・平成18年(2006年)公示・平成27年(2015年)改正、厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」の「働く人の疲労蓄積度セルフチェック2023(働く人用)」および「こころの耳電話相談」、厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」、国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト」うつ病。

江原 和比己(えはらかずひこ)—— 産業カウンセラー(日本産業カウンセラー協会認定)/日本ブリーフサイコセラピー学会 正会員/かずな総合研究所 代表。IT領域で約25年のキャリアを経て産業カウンセラーに転身。100kmウルトラマラソン完走者。

専門家に相談する

本記事の内容について、個別のご状況に応じたご相談を承ります。