AIとの付き合い方

AIに何を話せばいいかわからず、身構えてしまうとき

AIに相談した経験のある人へのアンケートに、「ちゃんとした文章を書かないと答えてくれないのでは」という声があります。その心配は、AIとの相性や質問の下手さのせいではありません。完成した質問文を用意してから話しかける必要はなく、曖昧なまま書き始めてかまいません。身構えをゆるめるための、具体的な始め方を紹介します。

江原 和比己(産業カウンセラー/かずな総合研究所代表)

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この記事の要点

  • 総務省の調査では、生成AIを使ったことがない人の38.8%が、テキスト生成AIの使い方がわからないことを理由に挙げている
  • 「ちゃんとした文章でないと答えてもらえない」という心配は、AIとの相性が悪いからでも、質問が下手だからでもない
  • 完成した質問文を用意してから話しかける必要はなく、曖昧なまま書き始めてよい
  • 状況をそのまま書く、分からないことを分からないまま書く、単語だけ並べる、という3つの始め方がある

AIに相談した経験のある人へのアンケートに、「ちゃんとした文章を書かないと答えてくれないのでは」という声があります。

その心配は、AIとの相性が悪いからでも、質問が下手だからでもありません。伝えたいことを文章にまとめようとすると、かえって言いたいことが書けなくなることもあります。

この迷いは、珍しいものではない

AIの使い方に迷うのは、珍しいことではありません。総務省の令和8年版情報通信白書に、こんな調査があります。生成AIサービスを使ったことがない人に、文章でやり取りするテキスト生成AIサービスを利用しない理由を尋ねたところ、最も多かったのは「自分の生活や業務に必要ない」で42.4%、次に多かったのが「使い方がわからない」で38.8%でした。

この調査は日本のほか、米国・ドイツ・中国でも行われており、「使い方がわからない」と答えた割合は、4か国の中で日本が最も高い結果でした。

テキスト生成AIサービスを利用しない理由

自分の生活や業務に必要ない 42.4%
使い方がわからない 38.8%

(総務省「令和8年版情報通信白書」個人におけるAI利用の現状, 2026年。複数回答)

この調査が対象にしているのは、まだAIを使ったことがない人です。ただ、実際に使い始めてからも、何をどう聞けばいいのか分からず、入力欄の前で手が止まる瞬間は残ることがあります。使い方がわからないという感覚は、最初の一歩を踏み出す前だけのものではありません。冒頭で触れた「ちゃんとした文章でないと」という迷いも、その一つです。

状況が込み入っていたり、気持ちがまだ整理できていなかったりすると、状況や気持ちを一文にまとめること自体が難しく感じられるからです。

話す前に「完成した質問文」を用意する必要はない

「ちゃんとした文章」や「完成した質問文」を用意してから話しかける必要はありません。聞きたいことが整理できてから話しかけようとすると、なかなか一歩を踏み出せません。先に曖昧なまま話しかければ、AIとのやり取りを重ねる中で、聞きたかったことの輪郭がはっきりしていくことが多いです。

何が分からないのかがまだ分からない、というところから始めても構いません。なぜうまく言えないのかを一人で掘り下げるより、今どう話し始めるかに意識を向ける方が、早く前に進めます。

何を書けばいいかわからないときの、3つの始め方

具体的にどう書けばいいか迷うときは、次の3つのどれかで十分です。

まず、状況をそのまま書く方法です。「来月、部署異動の内示が出そうで、正直まだ気持ちの整理がついていません」というように、結論や質問の形になっていなくてもかまいません。

次に、分からないことを分からないまま書く方法です。「何が引っかかっているのか、自分でもよく分かりません。ただモヤモヤしています」でも、そのままAIに送って構いません。

そして、単語だけを並べる方法です。「異動 不安 どう考えれば」でも、そこから会話は始まります。

どの始め方でも、足りない部分があればAIが聞き返してくることもあります。そのときは、一つずつ答えていけば十分です。

送ってから直せばいい — AI相手ならではの気軽さ

人に話すときは、一度口にした言葉を完全には取り消せません。誤解を与えれば、相手との関係にも影響します。AIとのやり取りでは、関係が壊れるという心配は基本的にありません。書いた内容が的外れでも、送った後に「そうじゃなくて」と言い直せますし、話を最初からやり直すこともできます。

それでも、最初の一言を打つときの緊張が、すぐには消えないこともあります。うまく話せるかどうかを気にして固まってしまうくらいなら、まず思っていることをそのまま書いて、送ってみることです。

※ 出典: 総務省「令和8年版情報通信白書」個人におけるAI利用の現状、家族なんでも相談室(合同会社ぜんと、監修: 公認心理師・精神保健福祉士 吉田克彦)「AIへの相談に関するアンケート」(AIに相談した経験のある149人対象、2026年)。

江原 和比己(えはらかずひこ)—— 産業カウンセラー(日本産業カウンセラー協会認定)/日本ブリーフサイコセラピー学会 正会員/かずな総合研究所 代表。IT領域で約25年のキャリアを経て産業カウンセラーに転身。100kmウルトラマラソン完走者。

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