日曜の夜になっても、まだ休み足りない気がする。月曜の朝、疲れが取れないまま仕事に向かう。そんな休日を繰り返しているなら、何をして過ごすかを見直すと、回復の実感が変わることがあります。
週末の過ごし方で、回復の実感は変わる
週末の過ごし方と、週明けの回復との関係を調べた研究があります。ドイツの救急隊員87人を対象にした調査です。Journal of Occupational Health Psychology誌に発表された、この分野では最初期の研究の一つです。
結果は、週末に何をしていたかによってはっきり分かれました。たまった家事や、家族とのいざこざ、車の故障のような急なトラブル対応に追われた週末を過ごした人ほど、週明けの燃え尽き感が強く、心身の全般的な調子も崩れやすくなっていました。仕事の成果や、新しいことを学ぼうとする意欲も下がっていました。
一方、気楽に過ごせる相手と一緒にいる時間を持てた週末は、週明けの燃え尽き感が抑えられ、仕事の成果にもつながりやすいという結果でした。週末の過ごし方によって、週明けの状態はこう分かれます。
たまった家事・トラブルに追われた週末
- 週明けの燃え尽き感が強まりやすい。
- 心身の全般的な不調を感じやすい。
- 仕事の成果が伸びにくい。
- 新しいことを学ぼうとする意欲が下がりやすい。
気楽に過ごせる相手と一緒にいた週末
- 週明けの燃え尽き感が抑えられやすい。
- 全般的な調子の良さにつながりやすい。
- 仕事の成果につながりやすい。
休日に予定を詰め込んでも、その中身が片付けや用事ばかりでは、回復にはつながりにくいということです。逆に言えば、短い時間でも、気楽に過ごせる相手と一緒にいる時間を意識してつくることが、回復につながることがあります。
仕事のことを、完全に忘れなくていい
休日はスマホを断ち、仕事のことは一切考えない。そんな「完全に仕事から離れる」休み方を目指す人も多いかもしれません。ですが、先ほどの調査は、前向きに仕事を振り返ることも回復に役立つことを示しています。
週末に仕事について前向きに振り返っていた人ほど、週明けの疲れが少なく、新しいことを学ぼうとする意欲も高いという結果が出ています。ここでの前向きな振り返りとは、仕事の嫌な部分を思い出すことではなく、うまくいった部分や、次にやってみたいことを、休日のどこかで少し考えてみることです。
もちろん、仕事の失敗や不安を繰り返し考えてしまうのは別の話です。そうした心配事が頭から離れないときの対処は、疲れているのに眠れないとき——悩み事を寝床に持ち込まない方法にまとめています。仕事を一切考えないようにと、自分を追い込まなくても大丈夫です。
休みの効果は、思ったより早く消えることもある
連休や長期休暇を取っても、仕事に戻ってしばらくすると、また元の疲れた状態に戻ってしまう。そんな経験に心当たりがあるなら、それはあなたのせいではなく、休みの効果自体が時間とともに薄れやすいからかもしれません。
週末とは別に、休暇そのものの効果を調べた研究もあります。Journal of Occupational Healthに掲載された、7件の研究をまとめた分析です。休暇には心身にいい効果がありますが、その効果は小さいものでした。
しかも仕事に戻ってから2〜4週間ほどで、その効果は大きく薄れていたとされています。休暇前後を並べると、効果はこう変わっていきます。
休暇前
いつもの状態
休暇直後
わずかな改善
仕事に戻って2〜4週間後
改善が大きく薄れる
このデータは週末ではなく、数日から2週間くらいの休暇を対象にしたものです。週末そのものについて、効果がどのくらい続くかは、この研究ではまだ明らかになっていません。それでも、連休や長期休暇の直後に感じていた回復感が薄れていくのは自然な流れです。1回の休みで、疲れがすべて消えるわけではないというだけのことです。
今日からできる、休み方の工夫
週末の調査を行った、ドイツ・ブラウンシュヴァイク工科大学のフリッツとゾンネンターグという研究者たちは、すぐに試せる3つのことを勧めています。
まず、休日にはできるだけ気楽に過ごせる相手と一緒にいる時間を持つことです。長い時間でなくても構いません。家族と食卓を囲む、友人と少し話す、それだけでも回復の助けになります。
次に、休日のどこかで、仕事について前向きに考える時間を意識してつくることです。次にやってみたいことや、うまくいっている部分を思い浮かべる時間です。
そして、家事がたまって追われる週末になりそうなときほど、意識してほっとできる時間を見つけることです。片付けが終わらなくても、その合間に人と話す時間を少し挟むだけでも、違いが生まれることがあります。
休日にスマホの通知に追われて、気づけば1日が終わっていたという人は、休日にスマホを手放せないのは、意志が弱いからじゃない——通知を完全に断つと、逆に不安になるも参考になります。
こうした工夫は、いつもの疲れへの対処法です。気分の落ち込みや、何をしても楽しめない状態に加えて、疲れやすい、眠れない、食欲がないといった不調が続き、日常生活に支障が出ているなら、自己判断で様子を見続けず、医療機関に相談することも、一つの選択肢です。
そうでなければ、全部を一度に変える必要はありません。今度の休日に、ひとつだけ小さく試してみることから、少しずつ休んだと感じられるようになります。
※ 出典: Fritz, C., & Sonnentag, S. "Recovery, Health, and Job Performance: Effects of Weekend Experiences." Journal of Occupational Health Psychology, 10(3), 187-199, 2005年、De Bloom, J., Kompier, M.A.J., Geurts, S.A.E., De Weerth, C., Taris, T.W., & Sonnentag, S. "Do we recover from vacation? Meta-analysis of vacation effects on health and well-being." Journal of Occupational Health, 51, 13-25, 2009年、国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト」うつ病。
※ 江原 和比己(えはらかずひこ)—— 産業カウンセラー(日本産業カウンセラー協会認定)/日本ブリーフサイコセラピー学会 正会員/かずな総合研究所 代表。IT領域で約25年のキャリアを経て産業カウンセラーに転身。100kmウルトラマラソン完走者。