セルフケア・休み方

疲れているのに眠れないとき——悩み事を寝床に持ち込まない方法

疲れているのに、布団に入ると目がさえて眠れない夜はありませんか。無理に眠ろうとするほど、悩み事は寝床に持ち込まれて逆効果になります。国立精神・神経医療研究センターが紹介する「心配タイム」を使い、悩み事に夜の早い時間に向き合っておく方法をまとめました。

江原 和比己(産業カウンセラー/かずな総合研究所代表)

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この記事の要点

  • 早く眠らなければと意識するほど、かえって目がさえてしまい、日中の悩み事を寝床に持ち込みやすくなる
  • これは意志の弱さの問題ではなく、厚労省によると無理に眠ろうとすると脳の興奮がかえって高まり、寝つきを悪くする方向に働くために起きる
  • 国立精神・神経医療研究センターが紹介する「心配タイム」は、悩み事に向き合う時間を夜の早い時間にあらかじめ決めておくやり方
  • 心配タイム以外の時間に浮かんだ悩み事は、紙に一言書き残して次の心配タイムまで置いておく
  • 日中のだるさや集中力の低下を伴って不眠が続くなら、心配タイムより先にかかりつけ医への相談が勧められている

疲れているのに、布団に入ると目がさえて眠れない。そんな夜は、無理に眠ろうとする前に、できることがあります。

布団に入ると、悩み事が浮かんでくる

厚生労働省の睡眠ガイドは、まだ眠くないのに無理に眠ろうとすると寝つきが悪くなり、日中の悩み事を寝床に持ち込んで、余計に寝つけなくなると説明しています。この背景には、無理に眠ろうとすることでかえって脳の興奮が高まるという仕組みがあります。早く眠らなければと意識するほど、かえって目がさえてしまうのは、意志の弱さの問題ではありません。

不眠の認知行動療法についてまとめた専門書も、目が覚めたまま布団の中にいる状況では、嫌な考えが浮かびやすくなると述べています。横になったまま考え続けても、悩み事は解決しません。悩み事を意志の力で止めようとするより、向き合う時間そのものを布団に入る前の夜の早い時間に移すほうが、助けになります。

悩み事には、夜の早い時間に向き合っておく

国立精神・神経医療研究センターが紹介する方法に、「心配タイム」があります。毎日、夜の早い時間に、悩み事と向き合う時間をあらかじめ決めておくやり方です。厚生労働省の睡眠ガイドは、寝床に入る少なくとも1時間前まではリラックスする時間を確保するよう勧めています。

45分のタイマーをかけ、その時間内に、今気になっていることを紙にすべて書き出します。書き出した一つひとつについて、できるだけ建設的に考えます。認知行動療法の考え方では、頭の中だけで抱えていると気分に左右されて何が問題か見えなくなるが、書き出すことで何に困っているのかを冷静に整理できるとされています。

タイマーが鳴ったら、3分ほど深呼吸をしてリラックスし、書いた紙は引き出しにしまっておきます。悩み事が浮かんだタイミングによって、対応は次のように分かれます。

悩み事が浮かんだ

心配タイムの時間内

紙にすべて書き出し、建設的に考える。

心配タイムの外・布団に入る前

深く考えず一言だけ書き残し、次の心配タイムまで置いておく。

その日の心配タイムで既に向き合った分は、今夜はもう考えなくてよく、新しく浮かんだ分も「次の心配タイムで必ず向き合う」と決まっていれば、その場で答えを出す必要はありません。国立精神・神経医療研究センターの別の資料も、自分の問題に取り組んだり翌日の行動を考えたりするのは、夜の早い時間にしておくよう勧めています。心配した状態のままでは、寝つきにくく浅い眠りになりやすいためです。

心配タイムは、不安と付き合う方法としても使われています。この方法を紹介しているページによれば、2週間ほど続けると心配事に振り回されにくくなるといいます。ここで紹介したのは、その考え方を夜の睡眠に応用したものです。夜の早い時間に悩み事へ向き合う習慣がつけば、寝床まで持ち込む分も自然に減っていきます。

それでも眠れない・続くときは

心配タイムは初日から効果を求めず、まずは自分に合うやり方かどうかを確かめてください。入浴や運動のタイミングなど、睡眠を支える生活習慣の基本は、疲れの度合いを測るところから始めるセルフケアでまとめています。

ただし、すでに日中のだるさや集中力の低下といった不調を伴って毎日がつらくなっているなら、心配タイムを試すより先に、かかりつけ医に相談してください。厚生労働省の別の健康情報サイトも、不眠が続き日中に不調を伴う場合は、自己判断で様子を見続けないよう勧めています。どちらに当てはまるかで、次にすべきことが分かれます。

疲れているのに眠れない夜が続く

日中のだるさ・集中力の低下は伴わない

心配タイムを続け、自分に合うか確かめる。

日中のだるさ・集中力の低下を伴い、毎日がつらい

心配タイムより先に、かかりつけ医に相談する。

※ 出典: 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」、岡島義「不眠の認知行動療法 実践マニュアル:治療者ガイド」(井上雄一・岡島義編『不眠の科学』2012年・朝倉書店)、国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター「暮らしのスキル」、同センター「認知行動療法マップ」『こころのセルフケアテキスト』、国立精神・神経医療研究センター「睡眠障害・睡眠問題に対する支援マニュアル」、厚生労働省 e-ヘルスネット「不眠症」。

江原 和比己(えはらかずひこ)—— 産業カウンセラー(日本産業カウンセラー協会認定)/日本ブリーフサイコセラピー学会 正会員/かずな総合研究所 代表。IT領域で約25年のキャリアを経て産業カウンセラーに転身。100kmウルトラマラソン完走者。

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