ひとりで歩き始めて、三日でやめた。ジムに通う同僚や、週末に走っている友人の話を聞くと、続いているのは一緒にやる相手がいるからではないかと思えてくる。続け方を探す前に、知っておいてほしいことがあります。
スポーツ庁の調査に、運動を週1日以上できなかった人と、1年以上続けている人のそれぞれに理由をたずねた質問があります。どちらでも、仲間にかかわる項目を選んだ人は1割に届きませんでした。
運動できなかった理由の上位に、「仲間がいない」は入っていない
スポーツ庁が令和7(2025)年11月に行ったWEBアンケート調査に、4万件の回答が集まっています。そのうち、この1年間に運動やスポーツを週1日以上できなかったと答えた1万9,271人に、その理由を複数回答でたずねた質問があります。
いちばん多かったのは「面倒くさいから」で31.8%、次が「仕事が忙しいから」で28.6%でした。「仲間がいないから」は5.9%で、上位3つには入りません。
「面倒くさいから」が最多だと聞くと、自分の怠けぶりを言い当てられた気がするかもしれません。ただ、3割を超える人が同じ項目を選んでいます。自分ひとりが特別に意志の弱い人間だ、と読む数字ではありません。
「仲間がいないから」を選んだ人も、100人に6人ほどはいます。ただ、ひとりだから続かないのだと考えると、次にやることは仲間探しになります。この質問で多く選ばれたのは、別の項目でした。
1年以上続けている人が挙げた上位の理由は、自分の体のこと
同じ調査では、軽く汗をかく運動を1日30分以上、週2日以上、1年以上続けている人にも理由をたずねています。回答したのは1万749人です。
| 挙げられた理由 | 割合 |
|---|---|
| 健康のため | 78.3% |
| 体力増進・維持のため | 57.3% |
| 筋力増進・維持のため | 43.2% |
| 楽しみ、気晴らしとして | 31.6% |
| 運動不足を感じるから | 29.9% |
| 肥満解消、ダイエットのため | 23.4% |
| 友人・仲間との交流として | 9.5% |
複数回答なので、合計は100%を超えます。上位3つは健康・体力・筋力で、どれも自分の体のことでした。「友人・仲間との交流として」を選んだ人は9.5%です。
この2つの質問は、誰と運動しているかをたずねてはいません。ですから、続けている人の9割がひとりでやっている、とまでは読めません。分かるのは、続ける理由として仲間を挙げる人が多くはない、ということです。
続けている人の多くは、健康や体力という、ひとりでも持てる理由で動いていることになります。
続ける理由を、生活の場面に置き換える
一緒にやる相手がいれば、待ち合わせの約束そのものが、今日動く理由になります。ひとりの場合、今日動く理由は外から与えられません。
調査の選択肢はどれも短い言葉です。「健康のため」「体力増進・維持のため」。疲れて帰ってきた日には、この短さでは足りないかもしれません。
「健康のため」という言葉を、生活の場面まで下ろしてみます。駅の階段で息が切れないこと。休みの日に出かけても、翌日に疲れが残らないこと。夕方まで集中が切れないこと。
思い当たる理由がなければ、見つけてから始めなくてもかまいません。続けているうちに、理由が見えてくることもあります。
いちど決めた理由を、ずっと持ち続ける必要もありません。始めたときの理由と、半年後の理由が違っていることはよくあります。変わったなら、そのときの理由に言い直せばいいだけです。
痛みが出て中断した場合は、続けるか休むかの見分け方をケガをしない運動の始め方 — 痛みが出たら続けるか、休むかにまとめています。自分からやめてしまったあとの戻し方は三日坊主と「再開」の技術、これから始める人が先に確かめておくことは40代・50代、運動の始め方で扱っています。
続けている人が挙げていたのは、健康や体力という、自分の体のことでした。ひとりで運動している人も、同じ理由を自分の言葉で持てます。
※ 出典: スポーツ庁「令和7年度『スポーツの実施状況等に関する世論調査』の概要」、2026年9月20日閲覧。運動を週1日以上できなかった理由の数値は質問Q12-1「この1年間で運動やスポーツを週に1日以上(年51日~100日)実施できなかった理由」(複数回答、n=19,271)、1年以上続けている人の理由の数値は質問Q13-2「1日30分以上の軽く汗をかく運動やスポーツを週2日以上(年101日~150日)、かつ1年以上継続している理由」(複数回答、n=10,749)による。調査は令和7年11月7日から11月28日にかけて、18〜79歳の男女を対象としたWEBアンケート調査として実施され、有効回収数は4万件。
※ 江原 和比己(えはらかずひこ)—— 産業カウンセラー(日本産業カウンセラー協会認定)/日本ブリーフサイコセラピー学会 正会員/かずな総合研究所 代表。IT領域で約25年のキャリアを経て産業カウンセラーに転身。100kmウルトラマラソン完走者。