運動を始めて三日で終わった。今年も、去年と同じように。カレンダーの余白を見て、また自分を責めた。そんな経験があるなら、また同じことになるのではと気が重くなるかもしれません。
ただ、止まったこと自体は、行動を変えていく途中でも起こり得ることです。続けている人も、途中でいったん止まることがあります。違いがあるとすれば、そこからの再開にかかる時間です。
止まることは、行動変容の過程に織り込まれている
厚生労働省は、生活習慣を変えるプロセスが「無関心期」「関心期」「準備期」「実行期」「維持期」という5つの段階を通ると説明しています。それぞれの段階でどんな働きかけが有効かは、40代・50代、運動の始め方で扱っています。
この5段階は一直線には進みません。厚生労働省の資料は、順調に先の段階へ進むとは限らず、前の段階に戻ってしまう「逆戻り」が起こり得ると明記しています。
三日坊主で運動をやめてしまうのは、この「実行期」で起こり得ることの一つです。厚生労働省の資料によると、実行期の目安はおよそ6か月未満で、行動の変化が見え始めていても、それを続ける習慣がまだ体に染みついていない時期だと説明されています。運動が止まるのは、この時期にも起こり得ることです。
再開は、思い切り小さく戻すところから
再開を早める最初のコツは、止まる前と同じ運動量に一気に戻そうとしないことです。厚生労働省の生活習慣の見直しを支援する資料は、目標を小さなステップで設定し、一つ一つ達成することで自分が自信を持てるようにすることを勧めています。この考え方は、止まったあとの再開にも使えます。
三日坊主で止まった直後にもう一度大きな目標を掲げると、また続かなかったときに自己嫌悪が大きくなることもあります。最初の再開は、10分だけ歩く、靴を履いて玄関を出るだけといった、できそうだと思えるくらいの小ささまで削ってかまいません。
止まった理由が膝や腰の痛みだった場合は、戻し方の前に確かめておきたいことがあります。痛みが出たときに続けるか休むかの見分け方と、受診を考える目安は、ケガをしない運動の始め方 — 痛みが出たら続けるか、休むかにまとめています。
うまくいかなかったことばかりが頭に浮かぶかもしれません。それでも、数日でも続けられた時期があるなら、そのときを思い出してみます。時間帯なのか、場所なのか、誰かと一緒だったのかを振り返り、うまくいっていたやり方をもう一度使うほうが、新しい方法を一から探すよりも近道になることがあります。
同じやり方で何度も止まってしまうなら、無理に続けようとせず、時間や場所を変えるなど、違うことを一つ試してみるところから始められます。
同じように小さく再開する方法は、note記事「また三日坊主で終わった」と思ったら——15分で止まっていい、という選択肢でも紹介しています。
厚生労働省の資料にある、習慣を変える工夫
厚生労働省 e-ヘルスネットは、習慣を変える段階を一つでも先に進める働きかけとして、いくつかの技法を紹介しています。もとは禁煙の研究で見つかったものを、運動に当てはめたものです。あわせて、生活習慣の見直しを支援する厚生労働省の資料は、記録をつける方法も技法の一つとして挙げています。
再開も、止まる前の段階へもう一度進むことだとすれば、これらの工夫が参考になることがあります。
技法の名前と大枠は厚生労働省の資料によるもので、具体的な取り入れ方の例は記事で補ったものです。
| 工夫 | 何をするか |
|---|---|
| 環境づくり | 動きやすい環境をあらかじめ整える。例: ウェアを前の晩に出しておく、玄関にシューズを置いておく |
| 記録をつける | 動いた日をカレンダーやアプリに記録する |
| 行動の置き換え | やめたい行動を、代わりの行動に置き換える。例: だらだらスマホを見ている時間を、軽い動きに充てる |
| ごほうびを与える | 続けられたら、自分でごほうびを用意する |
| 周囲のサポートを借りる | 一緒に歩く相手、どこまでできたかを話せる相手を持つ |
一つに絞る必要はありません。止まりやすい理由に合わせて、自分に合う工夫を組み合わせて使えます。
止まった自分を責め続けるより、次にできる小さな行動を考える。そこから、また動き出せます。
※ 出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「行動変容ステージモデル」、厚生労働省「健康的な体づくりのための生活習慣見直しノート(男性編)解説書」。
※ 江原 和比己(えはらかずひこ)—— 産業カウンセラー(日本産業カウンセラー協会認定)/日本ブリーフサイコセラピー学会 正会員/かずな総合研究所 代表。IT領域で約25年のキャリアを経て産業カウンセラーに転身。100kmウルトラマラソン完走者。