おひとりさま・孤独

家族や同僚といても孤独を感じるとき — 大事なことを話せる相手はいるか

家族と暮らし、職場にも人がいるのに、夜になると寂しくなる。そんなとき、寂しがる自分を責めていないでしょうか。国の計画は、孤立していなくても孤独である場合があると書いています。用事のやり取りと、気がかりを打ち明けることは別のものです。話しやすい一人に気がかりを一言だけ話してみる方法と、うまくいかないときの次の手を紹介します。

江原 和比己(産業カウンセラー/かずな総合研究所代表)

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この記事の要点

  • 国の孤独・孤立対策の計画は、社会とのつながりがある程度あって孤立していなくても、孤独である場合があると書いている
  • 用事のやり取りと、胸の内の気がかりを打ち明けることは中身が違い、大事なことを話す相手がいないと、人と一緒にいても孤独を感じることがある
  • 50〜68歳を対象にした研究では、配偶者を大事なことを話し合う相手にも支えになる相手にも挙げなかった人は、結婚していない人と比べて孤独感にはっきりした差は見られなかった
  • 家族や職場の中で少し話しやすい一人に、気がかりのほんの一部を一言だけ話してみる選択肢がある
  • 反応が薄くても、別の人や家族・職場の外の人、内閣府のウェブサイトで探せる相談窓口に話す道がある

朝は職場であいさつを交わし、昼間は同僚と仕事のやり取りを続ける。夜は家に帰り、家族と同じ食卓を囲んで話をする。一日のうちに、何人もの人と言葉を交わしている。

それなのに、明かりを消して布団に入ると、ひとりぼっちのような寂しさを感じる。そして「家族も仕事もあって恵まれているのに」と、寂しがる自分を責めてしまう。そんな覚えはないでしょうか。

周りに人がいても孤独を感じるのは、おかしなことではない

国は、孤独・孤立への対策の方針を「重点計画」としてまとめています。その中で「孤独」と「孤立」を分けて説明しています。「孤独」は、本人がひとりぼっちだと感じる気持ちの状態のことです。「孤立」は、社会とのつながりや助けがない、または少ない状態のことです。

そのうえで計画は、社会とのつながりがある程度あって孤立していなくても、不安や悩み、寂しさを抱えて孤独である場合がある、としています。家族と暮らし、職場に通っている人も、この孤立していないけれど孤独な状態に当てはまることがあります。

計画は、孤独や孤立は人生のどんな時期にも、誰にでも起こりうるものだとも述べています。また、人に頼ることは自分を守るために必要で、責められることではないとしています。

用事のやり取りと、気がかりを打ち明けることは別のもの

同じ「話す」でも、用事を伝え合うことと、胸の内の気がかりを打ち明けることは中身が違います。仕事の迷いや体の不安、これからの暮らしの心配のような大事なことを話す相手がいないと、人と一緒にいても孤独を感じることがあります。孤独を感じる理由は人それぞれで、これはそのうちの一つです。

これに近い結果が、アメリカに住む50〜68歳の225人を調べた2008年の論文にあります。この論文では、「大事なことを話し合う相手」と「支えになってくれる相手」を別々に挙げてもらい、そのどちらかに配偶者が入っているかを見ました。

同じ時点で比べると、配偶者をどちらかに挙げた人は、結婚していない人より孤独感が低めでした。どちらにも挙げなかった人は、結婚していない人と比べて、孤独感にはっきりした差は見られませんでした。

ただし、この論文は一つの時点のデータで結びつきを見たもので、話せる相手を持てば孤独感が下がると確かめたわけではありません。大事なことを話し合う相手や支えになる相手かどうかで分けたのも、配偶者だけです。

この結果を、家族のほかの人や同僚にそのまま当てはめることはできません。それでも、そばに誰かがいることと、その人に気がかりを話せていることが同じかどうかは、家族や同僚との間でも確かめてみることができます。

話しやすい一人に、気がかりを一言だけ話してみる

まず、話してみたい相手を一人、思い浮かべてみてください。家族や職場の人の中で、「この人なら話しやすい」と感じる人はいないでしょうか。

その人と、雑談の終わりや仕事の合間など、落ち着いて話せるときに、気がかりのほんの一部だけを口にしてみてください。たとえば「最近ちょっと、これからのことで迷っていて」と一言添えるだけでも、話の入り口になります。

気持ちの整理がついていなくてもかまいません。相手が聞いてくれそうなら、続きは別の日に話してもいいでしょう。

話しても反応が薄かったとき、話せる人が思い浮かばないとき

思い切って話しても、相手が忙しかったり、どう返せばいいか分からなかったりして、あっさり流されることがあります。勇気を出して話したのに受け止めてもらえなかったら、がっかりするのは当然です。

そのときは、その人だけにこだわらず、別の人に話してみてください。家族や職場の中に思い浮かぶ人がいなければ、昔の友人や趣味の場で会う人など、外の人でもかまいません。勤め先に相談窓口があれば、そこを使う手もあります。窓口の案内は、社内のお知らせや掲示に載っていることがあります。

外の人も含めて話せる相手が思い浮かばないときは、内閣府孤独・孤立対策推進室のウェブサイト「あなたはひとりじゃない(外部サイト・新しいタブで開きます)」を開いてみてください。いくつかの質問に答えると、状況に合った支援や相談窓口をチャットボットで探せます。

話せる相手は、一度で見つからなくてもかまいません。一人に一言話してみて、反応が薄ければ別の人に話す。その繰り返しの中で、気がかりを打ち明けられる相手は探していけます。

一人で過ごす時間そのものについては、「一人が好き」なのか、孤独を我慢しているのか — その時間を選んだのは自分かにまとめています。

※ 出典: 孤独・孤立対策推進本部「孤独・孤立対策に関する施策の推進を図るための重点計画」、令和6年6月(令和8年7月一部改定)、2026年9月24日閲覧。Hawkley, L. C., Hughes, M. E., Waite, L. J., Masi, C. M., Thisted, R. A., Cacioppo, J. T.「From social structural factors to perceptions of relationship quality and loneliness: the Chicago health, aging, and social relations study」(The Journals of Gerontology: Series B, 63(6), S375-84)、2008年11月、2026年9月24日閲覧。内閣府孤独・孤立対策推進室「あなたはひとりじゃない」、2026年9月24日閲覧。「孤独」「孤立」の説明、孤立していなくても孤独である場合があるという記述、誰にでも起こりうるという記述、人に頼ることは批判されるべきものではないという記述は、同重点計画による。

※ 江原 和比己(えはらかずひこ)—— 産業カウンセラー(日本産業カウンセラー協会認定)/日本ブリーフサイコセラピー学会 正会員/かずな総合研究所 代表。IT領域で約25年のキャリアを経て産業カウンセラーに転身。100kmウルトラマラソン完走者。

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