おひとりさま・孤独

「おひとりさまは寂しい」という捉え方との向き合い方

ふとした夜に「このままずっと一人なのだろうか」と感じるなら、それは事実そのものではなく、付け加えられた捉え方の一つかもしれません。内閣府の調査では、孤独を「しばしば」または「常に」感じる割合は、頼れる人が「いる」人で2.9%、「いない」人で21.5%です。未婚・死別・離別、それぞれ別の捉え方を探す方法を紹介します。

江原 和比己(産業カウンセラー/かずな総合研究所代表)

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この記事の要点

  • 「おひとりさまは寂しい」というのは事実ではなく、事実に付け加えられた捉え方の一つである
  • 内閣府の調査では、婚姻状況別に孤独を「しばしば」または「常に」感じる割合を見るといずれも1割未満である
  • 孤独を「しばしば」または「常に」感じる割合は、頼れる人が「いる」人で2.9%、「いない」人で21.5%である
  • 事実と、自分が付け加えた捉え方を分けて考えれば、同じ事実に別の捉え方を探し、両方とも手元に置いておくことができる
  • 一人になった経緯は変えられない。今日誰にどう頼るかは、少しずつ選んでいける

ふとした夜に、このままずっと一人なのだろうかと感じてしまうことはありませんか。「おひとりさまは寂しいものだ」——そう言われたことがある人もいるはずです。

そう感じる夜が実際にあるのも事実です。そう感じること自体は自然な感情で、否定する必要はありません。ただ、「おひとりさまは寂しい」というのは、事実そのものではなく、事実に付け加えられた捉え方の一つです。同じ事実に、別の捉え方を探すこともできます。

「単身=孤独」ではない

単身であること自体は珍しいことではありません。内閣府男女共同参画局の『男女共同参画白書 令和4年版』によると、単独世帯は全世帯の38.0%を占め、1980年の19.8%から2020年までの40年で2倍近くに増えています。50歳時点で配偶者のいない人(未婚・離別・死別の合計)も、2020年には男女とも約3割です(女性27.4%・男性30.8%)。

内閣府の2024年調査によると、婚姻状況別に孤独を「しばしば」または「常に」感じると答えた人の割合は次のとおりです。配偶者のいる人2.7%・死別4.3%・離別8.0%・未婚8.2%です。未婚の人でも、孤独を「しばしば」または「常に」感じる割合は1割未満です。

孤独を「しばしば・常に」感じる割合(婚姻状況別)

配偶者あり 2.7%
死別 4.3%
離別 8.0%
未婚 8.2%

(内閣府孤独・孤立対策推進室「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)」)

婚姻状況だけで孤独が決まるわけではありません。困ったときに頼れる人がいるかどうかも、孤独と結びついています。孤独を「しばしば」または「常に」感じる割合は、頼れる人が「いる」人では2.9%、「いない」人では21.5%です。

孤独を「しばしば・常に」感じる割合(頼れる人の有無別)

いる 2.9%
いない 21.5%

(内閣府孤独・孤立対策推進室「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)」)

捉え方を増やす — 事実と切り分ける

カウンセリングの技法の一つに、リフレーミングというものがあります。これは1970年代に家族療法の中で発展した手法で、ワツラウィックらの1974年の著作『Change』がよく知られた出典です。リフレーミングは、起きた事実そのものは変えません。その事実を、別の捉え方で読み直す、という考え方です。

リフレーミングは物事を無理に前向きに考え直すという精神論ではありません。いま感じている寂しさを無理に打ち消す必要はありません。

実際にリフレーミングを試すときは、以下の3つの手順に分けて考えると取り組みやすくなります。

①事実と、その事実に自分で付け加えている捉え方を分けて書き出す。「結婚しないまま歳を重ねたから寂しい人生だ」と考えたとき、事実にあたるのは「結婚しないまま歳を重ねた」の部分だけで、「寂しい人生だ」は、事実に自分が付け加えた捉え方です。

②同じ事実に、同じくらいよく当てはまる別の捉え方を探す。「結婚しないまま歳を重ねた」という事実に、「この歳まで、自分の時間とお金の使い方を自由に決めてきた」という捉え方も、同じくらい当てはまります。

③元の捉え方を否定せず、選択肢として並べておく。新しい捉え方のほうが正しくて、元の捉え方が間違っている、というわけではありません。どちらも同じ事実に当てはまるものとして、手元に置いておけばいいのです。

未婚・死別・離別、それぞれの捉え方

一人になった経緯は人それぞれです。以下の例が自分の事実に当てはまらないと感じたら、別の捉え方を探してみてください。

未婚のまま歳を重ねた場合、「気づいたら誰にも選ばれないまま今に至った」と思う方もいます。そう感じるのも無理はありません。同じ事実を、「友人関係も暮らし方も、誰にも合わせず自由に続けてこられた」と考えることもできます。

配偶者と死別した場合、「人生の後半をともに歩むはずだった人がいなくなり、この先の見通しが立たない」と思う方もいます。この先が見通せないと感じるのも無理はありません。同じ事実を、「一緒に歩んできた時間は消えていない。これからの日々をどう過ごすかは、まだ自分で決められる」と考えることもできます。

離婚を経て一人の生活に戻った場合、「結婚に失敗して、また一人からやり直すことになった」と思う方もいます。そう思う瞬間があっても当然です。同じ事実を、「結婚生活は終わり、今は自分だけの新しい生活を組み立てられる」と考えることもできます。

今週、選べること

今週、2つのことを試してみてください。

1つ目は、上の例を参考に、自分の状況を事実と捉え方に分けて書き出し、別の捉え方も並べてみること。2つ目は、困ったときに頼れる人を1人だけ思い浮かべ、実際に一言連絡してみること。長い話でなくてかまいません。近況を尋ねる一言、ちょっとした用事の連絡、それだけで十分です。

すぐに思い浮かぶ相手がいなくても、それ自体は問題ではありません。職場の相談窓口や、話を聞く専門家を頼ることも、同じように選べる選択肢です。

一人になった経緯は、変えられません。元の捉え方と、別の捉え方のどちらも手元に置いたまま、今日誰にどう頼るかを、少しずつ選んでいけます。

江原 和比己(えはらかずひこ)—— 産業カウンセラー(日本産業カウンセラー協会認定)/日本ブリーフサイコセラピー学会 正会員/かずな総合研究所 代表。IT領域で約25年のキャリアを経て産業カウンセラーに転身。100kmウルトラマラソン完走者。

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