セルフケア・休み方

燃え尽き症候群、気づきにくい変化のサインと早めの対応

以前は自然にできていた仕事への関心が、気づけば薄れていく。そんな変化に心当たりはないでしょうか。厚生労働省のポータルサイトに掲載された体験記と久保真人氏の文献レビューをもとに、燃え尽き症候群と呼ばれる状態で起きる変化、気づきにくい理由、早めに自分でできることをまとめました。

江原 和比己(産業カウンセラー/かずな総合研究所代表)

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この記事の要点

  • 疲れが取れないことだけでなく、仕事や人への気持ちが変わっていくことも、見逃せない変化
  • 人を支える仕事にまじめに取り組む中で、疲れ切ってしまうことがある。「完璧でなければ」という思い込みが、その変化への気づきを妨げることもある
  • 仕事の量や役割分担など、本人だけでは変えられないことも関わる
  • 気分の落ち込みが一日中続き日常生活に大きな支障が出ているなら、早めに医療機関へ相談してほしい

以前は自然にできていた仕事への関心が、気づけば薄れていた。同僚や利用者に、前より冷たく接してしまう。そんな変化に心当たりがあるなら、ただ疲れているだけではないのかもしれません。

疲れに加えて、見逃せない変化がある

「無理していない?」と言われても、自分ではそう思えない。頑張りすぎているサインに気づくでも触れたように、頑張りすぎた状態が続くと、それが「いつもの自分」になっていくからです。

疲れが取れないことに加えて、以前は気にかけていた相手に、素っ気なく接するようになる。仕事の結果に、以前ほど関心が向かなくなる。そんな経験はないでしょうか。

厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」に、よく似た変化を経験した人の体験記があります。あるケースワーカーの女性は、担当する家庭を熱心に支え、他の人よりも多くのケースを受け持つほど仕事にのめり込んでいました。

ところがあるとき、以前の担当者が自分の受け持ち家庭を訪れているのを知りました。不満を感じても口に出さずにいるうちに、同僚を「感謝もせず、困った時だけ私を利用する人たち」と思うようになり、職場で心を開かなくなったといいます。その後も虚しさが続き、やがて体調を崩しました。一人の体験談であり、誰にでも同じ経過をたどるわけではありませんが、疲れに加わる変化の例として参考になります。

なぜ、自分の変化に気づきにくいのか

人を支える仕事にまじめに取り組む中で、疲れ切ってしまったことがあるなら、同志社大学の久保真人氏が紹介する疲れ方と重なるかもしれません。

久保氏は、人を支える仕事では「完璧でなければ」という思い込みが、自分の変化への気づきを難しくしていると指摘しています。ヒューマンサービス職20人への聞き取りをもとにした回復事例の研究(Bernier, 1998)も、その難しさを裏づけています。

だからこそ、家族や同僚の言葉も、変化に気づく手掛かりになります。「最近、様子が違う」と誰かに言われた経験があるなら、聞き流さず、いったん考えてみてください。

早めにできること

原因をすべて探そうとして、どこから手をつければよいか迷う。そんな経験があるなら、今できることを一つ探してみると、動き出しやすいかもしれません。

仕事の負担には、本人だけでは変えられないものもあります。久保氏は、ヒューマンサービス職の疲弊への対処では、まず職場の環境を見直すことを優先すべきだと述べています。たとえば、仕事の量、自分で決められる範囲、誰が何を受け持つかです。仕事の進め方や量を、上司や同僚に早めに相談できそうでしょうか。

そのうえで、久保氏は、現実とかけ離れた理想を持ち続けることが、燃え尽きと関わる場合があるとも述べています。今の理想が、今の職場でできることと大きくかけ離れていると感じるなら、その理想を考え直す方法もあります。

ただ、職場の条件は、必ずしも自分だけでは変えられません。相談してもすぐには変わらないこともあります。それでも、今の状態を家族や信頼できる人に伝えておくことには意味があります。

気分が一日中落ち込んでいる、何をしても楽しめない、眠れない・食欲がないといった状態が重なり、日常生活に大きな支障が出ているなら、自己判断で様子を見続けず、精神科や心療内科などの医療機関、またはかかりつけの医師に相談してください。国立精神・神経医療研究センターも、早めの受診を勧めています。

仕事への関心が薄れていることに早く気づけば、仕事の量や進め方を見直すきっかけになります。止まってもいい。何度でも歩き出せば、その一歩が未来を変える。

※ 出典: 厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」体験記「燃え尽き症候群になった私:こころの病 克服体験記」、日本労働研究雑誌2007年1月号(独立行政法人労働政策研究・研修機構)久保真人(同志社大学)「バーンアウト(燃え尽き症候群)——ヒューマンサービス職のストレス」、国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト」うつ病。

江原 和比己(えはらかずひこ)—— 産業カウンセラー(日本産業カウンセラー協会認定)/日本ブリーフサイコセラピー学会 正会員/かずな総合研究所 代表。IT領域で約25年のキャリアを経て産業カウンセラーに転身。100kmウルトラマラソン完走者。

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